サッカー少年だった私にも、
平安のキヌガサは、かっこいい憧れのスポーツ選手だった。
京都では当時、高校野球といえば平安高校。のちのPL学園の
ような存在。黒人の父と日本人の母とのハーフ、あさ黒い肌も異色で
捕手は足がおそいをくつがえし、俊足強打、いまの大リーグのポージーのような選手だった。
高校をでて、プロ野球に入り、すぐ活躍した。
175センチと大きくはないが、ユニホームから透ける鋼のような
肉体感が日本人大リーガっぽく、変わらず、かっこよかった。
「江夏の21球」のシーンがキヌガサを語るのによく引かれるが、
彼が一塁守備にはいり、投手に声をかけたりマウンドで励ますしぐさは、
男の気づかいを思わせた。いい男だった。
衣笠祥雄、プロ野球選手、71歳。ご冥福を祈ります。 (天童キッド)