バルカン半島は傭兵(ようへい)の宝庫と言われています。
バルカン出身の職業兵士が、欧州各国に多くいるから。
ユーゴスラビアが崩壊し、ひとつだった国のタガがはずれ、多民族地域の争いがふきだす。あぶない民族浄化の思想すら現実化する。クロアチア、セルビア、マケドニア、コソボ…そしてボスニアヘルツェゴビナ。
バイド・ハリルホジッチ。欧州で得点王にかがやいた名フォワードだった。母国はボスニア。バルカンにけんか好きの乱暴者が多いということではない。彼らは、闘うことの誇りを民族の思想としてもち、闘わなければ生きていけない地理と歴史を、いまも生きている。
ハリルの背景を想うと、デュエル(決闘)という言葉は胸におちる。
でも、日本人には合わなかった。同調を重んじ、対立を良しとしない。
個を強くして縦にはやいタテぽんサッカーは、選手と協会に嫌われた。
サッカーは集団で闘う競技。チームで相手と対峙する。
選手と監督が対峙してしまっては、話にならない。
さて、本戦まで2か月の新生ニシノジャパン。
代表候補メンバーを集め、練習期間1か月。
「ないものを求めるより、積みあげてきたサッカーをよくしていく」と
ニシノ新監督。ポゼション率をたかめ、個の弱さを組織でおぎなう、
選手が納得するサッカーに回帰する方針です。
いつでも内紛・オランダ代表のような、
たえず不協和音が聞こえるチームだけは、ごかんべんを。(天童キッド)